Coyote vs Loadbalancer

The Blog for the Rest of Us

恋×シンアイ彼女感想

Introduction

3年前に買った恋×シンアイ彼女(Us:track, 以下恋カケ)をようやくTRUE含めて全部プレイし終えることができました。実はこのゲーム、発売当時にはいい意味でも、悪い意味でも話題になった作品で、実際にプレイをしてみて、自分もやはり様々思うことがあったので感想を書きたいと思います。めっちゃ長くなったなぁ・・・と書き終わってから思いました。8000文字オーバーですよ!驚きですね。 (2018/06/24 Update)雑にシナリオの要約をザクッと減らして、お気持ち表明程度にしておきました。

Disclaimer
完全に自分の好き勝手書いているので、納得しかねる点があるかもしれませんが、そっと心の中にしまっていただけるとこれ幸いです。
あと、1週間後に自分が読んで後悔するような恥ずかしい内容になっていると思うので、そのうち消えます。

以下、ネタバレ注意

Background

実を言うと恋カケは新品ではなく中古で購入しました。買ったときの情景はまだ覚えていて、今はなき秋葉原紙風船の新作コーナで平積みにされていた光景を覚えています。ゲームにしては箱が正方形で大きめであることと絵の綺麗さに目を惹かれて、そのまま手に取り、公式Webサイトの以下の文言で購入を決心して、レジに持っていったのを覚えていますね。

物語のテーマは、少年少女達の等身大の恋愛劇

学生時代にしか感じることの出来ない、甘くも酸っぱくもある 青春ならではエピソードを、シナリオとCGを丁寧に描き魅力的に演出します。

本企画は、極めて王道で恥ずかしいほどのド直球。思わず目を覆いたくなるような、そんな恋愛ADVです。

(from: Us:track | 恋×シンアイ彼女 )

しかし、購入した直後にとある友人から「炎上したやつやんw」と言われ、そしてゲームのメインヒロインである星奏ちゃんの結末を聞かされて、それが原因で結局3年間プレイすることがありませんでした。
そんな状態で3年間のブランクを経て、先日、サークルの後輩である@kyontanにminoriの罪の光ランデヴーをやらせる代わりに、自分が恋カケをやるというような取引を(多分)口頭でしたのをきっかけに、プレイする決心がつき、ようやく全ルートをやり終えることが出来ました。(すでにプレイをし終えた@masawadaさんたちがいる場で星奏ちゃんの話をしたら「やってから言ってくれる?」と言われたのもありますが・・・・。)

Spec

まず、ゲーム全体として特筆すべきなのは様々な要素が「綺麗」という点。

Graphic

まず、絵について焦点を当てると、背景画は新海誠監督作品のような雰囲気を感じます。非常に丁寧な作画がされていて、例えばスタッフのTumblr(!)記事からなのですが、まだ塗りの段階ではないにしろ、非常に丁寧な線画であることがわかります。

http://us-track.tumblr.com/post/124315110741/上主人公の家下小鞠の家と喫茶店主人公はグラフィックス側で描き起こしてもらいました下の喫茶
us-track.tumblr.com

更に、色が塗られた作中に出てくる主人公たちの通う通学路の背景画も非常に綺麗・・・。

http://us-track.tumblr.com/post/125499685961/きょうはこうしんびギャラリーのはいけいすこしだけついかするよ
us-track.tumblr.com

これ、実はこれで完成ではなく、発売直前まで色の調整などをしていたようで、製品版はもう少し違ったりします。かなりこだわってますね。

Music

BGMはピアノをベースにした落ち着いた感じで、透明感のある曲が8割を占めています。こちらについてはオフィシャルで公開されていないので、サンプルを出すことは出来ないけども、非常に良い。

Text

テキストに綺麗、というワードを使うのは適切ではないかもしれないですね・・・。ですが、実際に読んでいてスルスルと入ってくるような綺麗なテキストでした。ギャルゲーでよくある、ちょっと性的なフレーズも悪印象を与えることなく、スルッと抜けていき、そういうのを求めていない自分にとってはとても良かったです。

Scenario

シナリオは話の進むテンポや、笑うポイントなどがいい塩梅になっていて、良かったです。情景や登場人物たちの心情表現も非常に上手かったと思います。
簡単なあらすじは公式サイトをご覧いただければと思います。
ustrack.amusecraft.jp

Ayane episode

彩音ちゃんルートが自分は一番好きでしたね。こういう昔、女の子側から渡された恋のきっかけとなるなにかが、今になって物語のキーとして動き出して恋仲になっていくという展開がすごく自分好みでした(他のゲームでいうと、「見上げてごらん、夜の星を」(PULLTOP, 2015)の沙夜ちゃんルートのような感じでしょうか)。彩音ちゃんの性格も好きなタイプで、それを抜きにしても非常に好感を持つことが出来たヒロインでした。(声優さんが結構好きな声優さんだったのもありますが・・・。 )
なんとも素直になれないお互いが不器用ながらも関係を進めていくのが、なんとも彼ららしい感じでほっこりしました。もう一度、じっくりやろうかなと思えました。
彩音ちゃん関連のシナリオで一番心に残った言葉は

青春はあっという間で、やってもやらなくてもあっという間に過ぎ去って、二度と訪れない。そこで頑張っても頑張らなくても、いつかその青臭さを、あるいは怠惰を恥じるときが来る

ですね。これに尽きます。

Yui episode

後輩ちゃんルート。なくしてしまった、あるいはなくなってしまう"なにか"に対して、どう向き合っていくかがテーマかなと思いました。終盤あたりに感情移入している状態で見るとかなり辛い1枚絵が入るのですが、最終的にはハッピーエンドになっていてよかったです。多分、この作品中で一番明確にハッピーエンド的な感じで終わっているルートだと思います。

Rinka episode

ちょっとあまり記憶に残らなかったのがぶっちゃけたところ。基本的には、一人で孤独に頑張ってきた人の心をこじ開けて、みんなで困難に立ち向かっていこうというような感じです。全く関係はないですが、まどか☆マギカの杏子の「独りぼっちは、寂しいもんな」が頭から離れなかったですね・・・。

Sena & Sena Final Episode

さて、さて。ほいじゃの人です。「あんまり言うと、空飛んじゃうよ、ぱたぱた」

まず、言うことととしては

納得はしていないが、理解は出来た

です。

まず、このルートは「大変」だと知っていたのでかなり身構えていましたが、中盤までは「極めて王道で恥ずかしいほどのド直球。思わず目を覆いたくなるような、そんな恋愛」でした。主人公からの告白に対する星奏ちゃんの返答の仕方、そしてその中身は攻撃力が高く、思わず頭を抱えてしまいました。あれはずるい。また、中盤のデートやなんやらも非常に微笑ましてくてよかったです。始終、「星奏ちゃん、可愛いなぁ〜」と言い続ける感じでした。

ところが、個別ルートの終盤で星奏ちゃんが説明なしに主人公の元を去り、そして主人公は星奏ちゃんを必死に追うわけでもなく、勝手に自分一人で納得して静かにルートを終えるという斬新な展開になります。マジでなんのこっちゃという感じです。国民に説明の義務を果たしてほしいものです。

そんな個別ルートの数年後を舞台にして、Final Episodeの話が進んでいきます。Final Episodeでは、大学を卒業し教師をやっている主人公の前に唐突にまた星奏ちゃんが現れ、なぜ去ったのかなどの詳しい説明なしになんだかんだでよりを戻して同棲することになります。正直、読み手側としては「どういう気持ちで何も言わずに去った元彼の家に転がり込むんだ」という気持ちになります。後にそういう意図はなかったと判明しますが、「自分勝手に主人公をいいように利用しようとしている」と思えてしまうレベルです。
これでハッピーエンドに向かうのかと思えば、星奏ちゃんは主人公がプロポーズしようと決心した日に「もう二度と会うことはない」みたいな書き置き一つおいてまた去るという展開になります(ぼくはこの段階でキレて床に目薬を叩きつけました)。そこから、主人公はそれが遠因となり教師をやめたり、荒れた生活を送ったり、知り合いのつてでルポライターになって星奏ちゃんの過去を知ったりします。その中で、星奏ちゃんが自分のもとを去ってしまったのは不可抗力であり、回避出来なかったものであることがわかります。しかし、それを記事にしてしまったことが原因で無職になったりとなんともきっつい内容になります。
結局、初心に戻って小説を書いている無職の主人公(27歳・独身男性)は執筆中の息抜きの散歩で座ったベンチで「自分はやはり星奏ちゃんが好きなのだ」と勝手に再確認して、そのまままどろんで物語は終演を迎えます。だから、なんのこっちゃという感じですね。

最後までやった正直の感想としては星奏ちゃんの行動が原因で27歳・無職になるのはきっつーというところです。ぶっちゃけ、星奏ちゃんを選ばなければ主人公は普通の幸せを手に入れていたのだと思います。
星奏ちゃんは主人公の元を去らなければならなかったにしても、3度も事情を話さずに去っていく行為には納得がいかないです。一度、お互いに話をするべきだったのではないかなと思います。もっとうまい方法があったのではないか、なぜ突然別れを告げるという極端な手段を3度もとってしまうのかと、やはり読んでいて納得が行きませんでした。

Conclusion

やはり星奏ちゃんルートには様々な気持ちを抱きましたが、全体としてはやってよかったゲームだと思います。彩音ちゃんルートが一番良かったという点を推していきたいと思います。

でも、やっぱり星奏ちゃんルートには様々な思いを抱きます。ギャルゲーとして最終的に困難も2人とその周りの仲間達で乗り越えハッピーエンドという(まるでALcotゆずソフト作品のような)お決まりな流れではなく、実際に2人が苦悩しつつもくっつき、そして離れていくという情景を細かく描画したのは純粋にすごいと思います。Introductionでも掲載した公式サイトにある

物語のテーマは、少年少女達の等身大の恋愛劇

の文言通り、確かにこのゲームはある意味で等身大だと思います。でも、そういう等身大さを(大多数の)ギャルゲーをやるユーザーが求めているかというと、疑問です。もちろん、そういう展開を否定するわけではないですが、やはりこのようなウリ文句でこのような展開になるのはどうなのかなという気持ちです。このウリ文句を変えれば、悪い話題で盛り上がることもなかったと思います。

最終的に、プレイし終わったあとに考えた結果として、彼らに足りなかったもの、それは対話だと思います。結局、お互いが思ってること、抱えてることを中途半端に隠し続けてしまい、勝手に自分一人で納得して、結論づけて、行動してしまった結果、星奏ちゃんは3度にわたり主人公の元を去ったのだと思います。 お互いが抱えている気持ちや置かれている立場について一度、しっかりと話すことが出来れば別れは1度だけで済んだのではないかなと思います。でも、実際に話し合いをしたからといって、主人公が星奏ちゃんの置かれた立場と状態に対してどういう行動ができたのかはわかりません。

自分にとってこの3年間、しこりとして残っていたゲームをプレイし終えることが出来ましたが、時折時間を見てもう一度やっていろいろと考えたい作品だと思います。彼らにとって何が正解だったのかを考え続けることが、自分がこのゲームを気持ちの上で消化するための答えなんだと思います。

Superfluity of words

劇エヴァ作成時の庵野秀明監督のようにオタクに「現実に帰れ」と言っているような、このゲームのFinal Episodeの現実さに対して、自分がなぜ1本あたり8000円以上もするお金を出し、 そして数十時間という膨大な時間を使ってまで年間数十本もギャルゲーをやるのかということを考えました。

自分にとってのギャルゲーとはファンタジーであり、叶えたかった夢なのだと思います。自分が制服に袖を通して校舎に通っていた、いい思い出のない現実世界の過去で起こり得なかった女の子とのやりとりや関係性、友人との交流、その場で自分が取れなかった立ち振る舞いをギャルゲーというファンタジーの場で叶えた気になりたいからやっているのかもしれません。そこには叶えられなかった夢が叶えられたifの世界があり、それをディスプレイに映し出された映像で、ヘッドホンとDACから出た音で、少しでも夢を実現できた世界を覗きたいと思い、ギャルゲーをやり続けているのかもしれません。 それらの夢を叶えるには歳を取りすぎた、あるいは今からそれに準じた夢を叶えるための行動が出来ない自分に残された、唯一の慰めとして自分は今日もギャルゲーをやっているのかもしれません。だからこそ、恋カケのような、ゲームの中でさえも叶えられない"何か"がある状態でENDを迎えることに強い抵抗感を覚えたんだと思います。

Revision history

2018-06-22 First published.
2018-06-24 Rewrite Impression of Sena & Sena Final Episode.

[EOL]